原康平
クリスマスに向けて、町中が華やかなデコレーションで彩られています。一年で昼が一番短い、この時期。日も暮れて、気温もグッと寒くなった夜空に、LEDのイルミネーションが一層の輝きを増しています。心ワクワクする季節。周囲が賑やかだからこそ、逆に雑踏の中で、1人孤独を感じる季節でもあります。実はイエスの誕生も、華やかさとは真逆の孤独で、極限的な状況で起こった出来事でした。
ヨーロッパ、アメリカはもちろん、この日本でも、人々はクリスマスを盛大に祝います。これほど多くの人がその生誕を祝う、イエスとはどんな人物だったのでしょうか。商業化されたクリスマスの中で、クリスマスの本来の意義は何だったのでしょう。
イエスの誕生は、現在のパレスチナ自治区にある町、ベツレヘムでした。イエスがベツレヘムで誕生することは、イエス誕生の約700年前の預言者ミカによって預言されていました。
「ベツレヘム、エフラテよ、あなたはユダの氏族の中で、あまりにも小さい。だが、あなたからわたしのためにイスラエルを治める者が出る。その出現は昔から、永遠の昔から定まっている。」※1 まさにイエスはこの預言のとおりにベツレヘムで生まれました。そこには、歴史を支配する神の奇跡があったからです。
本来、イエスの両親ヨセフとマリアは、遠くガリラヤ地方の田舎町、ナザレで暮らしていました。聖書は、夫妻がベツレヘムの旅先で出産せざるを得なかった理由を説明しています。「そのころ、全世界の住民登録をせよという勅令が、皇帝アウグストゥスから出た。…人々はみな登録のために、それぞれ自分の町に帰って行った。」※2
当時、この地域はローマ帝国の植民地でした。宗主国の命令は絶対です。通常、ローマ帝国の住民登録は居住地で行われました。しかしなぜかこの時だけ、本籍地で登録することになったのです。
「ヨセフも、ダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。身重になっていた、いいなずけの妻マリアとともに登録するためであった。」※3
ヨセフとマリアも、ナザレから彼らの先祖の地、ベツレヘムまで旅行する必要がありました。徒歩で一週間の旅路。途中、標高差1000メートルの峠を越える、臨月の妊婦には過酷な道のりでした。おそらくマリアをロバに乗せての旅だったと思われます。ヨセフとマリアの意思を越えて、彼らはベツレヘムでイエスを出産することになります。
「ところが、彼らがそこにいる間に、マリアは月が満ちて、男子の初子を産んだ。そして、その子を布にくるんで飼葉桶に寝かせた。」※4
住民登録のため、全国で帰省ラッシュが起こりました。ベツレヘムに到着したヨセフとマリア夫妻。親戚の家の客間も、ホテルも先客でいっぱいでした。
ベツレヘムは石灰岩地形の台地の上に建てられた町です。普通、住宅は地面を掘り下げて、切り出した石で建築されました。住宅の地下には石を掘り出した地下室があり、倉庫として使われていました。ロバとともに、温かな地下室に2人は泊まったようです。その地下室で、マリアは出産したのです。
その夜、ベツレヘム郊外で、羊飼いが野宿をしていました。羊飼いがいる野原に、天使の大軍が現れます。天使たちは、救い主の誕生を伝えるのです。
「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。あなたがたは、布にくるまって飼葉桶に寝ているみどりごを見つけます。それが、あなたがたのためのしるしです。」※5
羊飼いたちは、ベツレヘムの町へと救い主である赤ちゃんを探しに行きます。救い主は今日生まれた赤ちゃんで、布で巻かれて、家畜の飼料を置く飼葉桶に寝かされているはずです。ユダヤでは飼葉桶も石灰岩で作られていました。
羊飼いには、不思議な光景だったはずです。民家の地下室で、布にくるまり、石製の飼葉桶に寝た赤ちゃん。ここで救い主が生まれるとは…。新生児病棟というよりは、当時の人々にとっては墓場を思い出す光景です。というのも、当時の墓は石灰岩の洞窟を利用しました。遺体は布でつつまれ、石のベッドに安置されたのです。イエスの誕生は、不思議と死を連想させるものでした。
イエスは成長し、およそ30歳で聖書の神を伝え始めました。3年間の宣教活動の終わりに、イエスは十字架で死刑にされました。当時の宗教指導者のねたみと恨みを買ったからです。しかし神の子イエスの十字架の死は、私たち全人類の罪の刑罰を代わりに背負ったものでした。
イエスの遺体は洞窟の墓に埋葬されました。イエスの誕生と重なる場面です。遺体は布にくるまれ、石の寝台に寝かされました。しかしその3日目、イエスはその墓で、死から復活したのです。
「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」※6
私たちの娘は、特別養子縁組で我が家に来ました。産みのお母さんが思い掛けない妊娠をし、育てられないお腹の赤ちゃんを養子に出す決心をしたのです。出産を終え、数日間、新生児の娘は実母さんと入院していました。退院の日、私たち夫婦が赤ちゃんを迎えに行きました。
夫婦で実母さんとお会いしました。そして実のお母さんから赤ちゃんを手渡され、抱っこしました。生後数日、3キロほどの赤ちゃん。肌着越しに温もりが伝わってきます。物理的には3キロの赤ちゃんです。しかし父となる厳粛さと緊張で、抱っこする新生児がとても重く感じました。私たち夫婦を信頼し、実の娘を委ねた母の愛を感じました。
神が今から2000年前、そのひとり子であるイエスを、この地上に遣わしました。イエスは赤ちゃんとして、マリアのお腹から生まれたのです。そこには、あなたを救いたい、あなたと人生をともに歩みたいと願う、神の愛があったのです。
あなたを愛し、あなたを信頼して、ひとり子イエスを委ねた父なる神。この神を信頼し、あなたが受け取るならば、イエスこそが神からの最高のプレゼントとなるのです。クリスマスの本当の意義はそこにあります。このクリスマス、この神からのプレゼントを受け取ってみませんか。
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脚注:(1) ミカ5:2 (2) ルカ2:1,3 (3) ルカ2:4,5 (4) ルカ2:6,7 (5) ルカ2:11,12 (6) ヨハネ3:16