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特別養子縁組

育てられない事情で、赤ちゃんを養子に託すお母さん。胎内の生命を思い、中絶せずに、出産し、新しい家族に託す…。大きな愛の決断だったはずです。また、赤ちゃんを委託された家族にとっても、大きな転機となる厳粛な出来事です。血のつながりを越えた新しい家族のあり方をご紹介します。

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「小さいヒロトだよ。ほら見て!」長女のケイは、私のスマホにある動画を見て、叫びます。
ヒロトが病院の新生児病棟から退院し、我が家に迎えた日に撮った動画です。病院から初めて退院して、この世界に出てきたヒロトに、ケイが出会った瞬間のビデオ動画をスマホで撮影していました。病院の託児室から出てきたケイが、まだ3,000gほどの小さな弟を見て、驚きながらも、恥ずかしそうに頭を撫でる姿が映っていました。

ニコニコしながら、ケイは弟ヒロトのところに携帯を持っていきます。「見て、小さなヒロトだよ。見て。見て…」1歳になったヒロトは今では10kg近くになり、身長もだいぶ大きくなりました。1歳のヒロトはスマホの動画を見ても、この場面が何なのか、まだピンときてはいませんが…。

新たな出会い

我が家の二人の子どもたちは、特別養子縁組で、我が家に来ました。私たち夫婦は結婚して7年間、子どもを授かりませんでした。不妊治療も少ししました。7年目、妻の提案で、特別養子縁組を斡旋する民間養子あっせん機関のセミナーに参加しました。

妻は大学時代に出会った宣教師のご家庭が養子縁組の赤ちゃんを迎え入れ、育てる姿に感動を覚えていました。「将来、結婚したら、私の家にも養子を迎えたい…。」おぼろげながら、養子を受け入れる夢を心に抱くようになったと話します。

養子縁組セミナーに参加し、私も養子を受け入れたいと願うようになりました。申請書類を揃え、書類審査、家庭訪問、面接を経て、養子を迎え入れる待機家庭に登録されました。私たちの両親も説得しました。3年前に長女のケイを我が家に迎え、一昨年に下のヒロトを迎え入れました。

VIP待遇

この1年を振り返ると、下の息子を我が家に迎え、児童相談所と市役所の職員が訪問。家庭裁判所の調査官との面談と2度の家庭訪問がありました。目まぐるしい1年でした。昨年、5月初めに病院で初めて会ったヒロトはまだ本当に小さな赤ちゃんでした。

病院の新生児病棟の脇の部屋で、実母さんとお会いしました。実母さんから、名前の由来、彼女の赤ちゃんへの思いを聞きました。実母さんはヒロトを育てられない事情がありました。乳児院で育つよりも、養子に出すことを決心したのです。彼女にとっても、ヒロトと会うのが、その日は最後でした。気丈にも、実母さんは私たちに感謝の言葉を伝えました。今まで撮った写真をアルバムにまとめ、私たちに託してくれました。最後、私が実母さんのために祝福を祈り、そしてヒロトが私たち家族の手に委ねられました。

ヒロトが我が家に託されるため、多くの方々の助けと祈りがありました。実母さんが出産するまで滞在したシェルターの女性宣教師。社会福祉士、カウンセラー、助産師の方々…何人もの専門職の方々が関わり、連絡を取り合いました。新生児病棟で24時間ヒロトを看護し、経過を観察した医師、看護師、医療関係の方々。多くの方の助けがあり、ヒロトは我が家に来ました。

ヒロトはぐっすり眠って、安心の中で我が家にやってきました。将来、私たち夫婦が、ヒロトにどういう経緯で、我が家に迎えられたのか。どれだけ多くの方々が関わり、真剣にヒロトの養育環境を考え、話し合い、最善を尽くしたのかを伝えるときが来ることでしょう。

神のVIP待遇

ヒロトが我が家に来た過程を思うと、私たちへの神の思いと計画の緻密さに、感動を覚えます。世界を創造した神は、この世界が造られる前からあなたのことを知り、特別な計画を立てていました。しかし神を知らず、神に背を向けて歩む私たちのために、今から約2000年前、神はご自分のひとり子イエスをこの世界に遣わしました。

「しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために、死んでくださったことにより、神は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。」※1

イエスは私たちの罪の身代わりとなり、十字架で死に、3日目によみがえりました。このイエスを信じる人は皆、神の子どもとされます。

あなたを神の子どもとするために、神はあなたのために祈るように、多くの人々に働きかけました。神が聖書の言葉を伝える人を遣わし、イエスを信じることができるように、あなたの人生を細かく導かれました。最後に「信じます」と決断するまで、神の舞台裏での働きは続きます。

父となる…

ヒロトは小さく生まれたので、生まれて数か月、入院する必要がありました。毎日夫婦でローテーションを組んで、ヒロトの面会に行きました。ある日、私が新生児病棟に面会に行ったときのことです。荷物をロッカーに置き、手を洗い、マスクをして新生児病棟に入りました。

「オギャ、オギャ…」 小さなベッドに横になったヒロトは小さな声を絞り出すように泣いていました。顔を真っ赤にして泣くヒロト。その頭を両手でそっと持ち上げ、首を片手で支えて、もう一方の手をヒロトの腰に入れて、ゆっくり抱き上げました。腕で包むように抱っこしてあげると、ヒロトは泣きやみました。心電図を見ると、血圧も心拍数も落ち着いてきました。

ヒロトは安心したのか、私の腕の中でぐっすり眠り始めました。2時間、抱っこしました。3,000gほどのヒロトの温かさが伝わってきました。「小さいけど、僕は生きているんだ…。」こう語っているようでした。抱っこして2時間、次の予定があるので、病室を後にしようとしたときのことです。

隣の赤ちゃんの世話をする看護師さんに挨拶し、ヒロトをベッドにそっと寝かせました。するとその瞬間、ヒロトは目をパッと開いて、ワァと泣き出しました。手をバタバタさせ、ようやく私の指を見つけて、指をギュと握りしめ、離してくれません。ヒロトの指の握る強さに「帰らないで!」小さなヒロトなりの自己主張を感じました。私を頼るヒロトの指の握力に、「父」になった実感が湧いてきました。

神の特別養子縁組

聖書は、神のひとり子イエス・キリストを信じるとき、私たちを神の子どもとして、神の家族に迎えると約束しています。

「しかし、この方(イエス)を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとなる特権をお与えになった。」※2

神のひとり子、実子であるイエスを信じるとき、私たちに神の「子ども」となる特権が与えられます。この「子ども」となる特権とは、「養子」として迎えられるという意味です。

もともと罪のゆえに、神から遠く離れた、私たちです。しかし神の唯一の実子であるイエスが、罪の中に生きる私たちの身代わりに、十字架につけられました。イエスの十字架の死によって、「贖い」すなわち、私たちの罪の代価の支払いが完了しました。そしてイエスは死んで3日後に、死からよみがえりました。

「しかし時が満ちて、神はご自分の御子(イエス)を、女から生まれた者、律法の下にある者として遣わされました。それは、律法の下にある者を贖い出すためであり、私たちが子としての身分(養子)を受けるためでした。そして、あなたがたが子であるので、神は『アバ、父よ』と呼ぶ御子の御霊を、私たちの心に遣わされました。」※3

「あなたがたはみな、信仰により、キリスト・イエスにあって神の子どもです。」※4 

このイエスを信じる者は、神の「養子」として、神の家族に迎えられます。あなたも神の家族の一員になるように、招かれているのです。

今でも、ヒロトは抱っこを求めて、両手を開き、ヨチヨチ歩きで、私たち夫婦を追いかけてきます。満面の笑顔で、後追いするヒロトを見るたびに、あの日、新生児病棟で感じた感動を思い出しています。

父なる神の子どもたちに対する思いについては、こちらのサイトの動画をご覧ください。
https://www.studentinjapan.com/a/plates.html

特別養子縁組に関しては、民間あっせん団体ベアホープのサイトをご覧ください(外部サイト)。
https://barehope.org

 イエス・キリストとの個人的な関係を持つには
 質問や意見があります

脚注:(1) ローマ5:8 (2) ヨハネ1:12
(3) ガラテヤ4:4,5,6 「御子」と訳された原語は「実子」を表すことば、「子としての身分」と訳された原語は「養子」を表す単語υἱοθεσίαν(フイオセシアン) が使われています。神である御子が「女から生まれたもの」「律法の下にある者」とは、人間になったことを意味します。「律法」とは旧約聖書の宗教・道徳規定であり、人はこの規定のために罪人の判決を受けるべき存在です。罪を指し示す「律法」を根拠とした死刑判決を、御子イエスが身代わりに負って十字架で死にました。イエスの身代わりの「贖い」の死のゆえに、信じる者は養子として、神の家族に加えられることをこの箇所は語っています。
(4) ガラテヤ3:26


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